2022年7月8日金曜日の話
この記事の意義は、
歴史を学んだものとして、今を生きる者その一端として、
その当時なにを感じたかここに記しておこうと思う。それだけにつき、何が良かったかや悪かったか、などという議論はここですべきではないので予めそれは言っておく。センシティブな話題だしね。
2022年(令和4年)7月8日11時31分ごろ、第26回参議院議員通常選挙のための街頭演説を奈良県奈良市の近鉄大和西大寺駅前付近にて行っていた際に、犯人自作の銃で背後から2発撃たれ、その内1発が命中し心肺停止状態になる[113][114]。
以上はhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%25E5%25AE%2589%25E5%2580%258D%25E6%2599%258B%25E4%25B8%2589からの引用
ここが起きた事実。
以下は、私がそれを如何に知り、どう感じたかの記述。もう何週間も経っちゃったし、トラウマみたいなものだからあんまり確実な記憶ではないかも。という前置きをしておく。
私がこの事件を初めて知ったのは8日のお昼12時過ぎ、両親が営む会社の事務所にお昼飲むお茶を取りに行った時テレビでだ。その時は速報、みたいな感じで例の高校生にインタビューしてるNHKで、大変なことが起きたのだと思った。
父親は驚き交代でわざわざ母を呼びに行った。
「安倍さんが撃たれたらしい」そう私が母に言ったら「どのあべさんだよ」と言われたので「前の前の総理のー」と言ったのは覚えてる。
そして、「今令和だよね?大正とか明治じゃないよね?」と。東京駅のプリンの様な屋根を思い出した。あそこにたしか誰だったか総理が銃撃されてそのプレートがある。プレートになってしまうくらい昔の話だと思ってた。私の中で歴史上の事件だった。
早く飯食えと親に急かされ、事務所2階の休憩室に行った。するとやはり従業員皆でニュースを見ていた。見ざるおえなかった。私がリモコンで全局チェックしたけど、ほぼ全局だった。スマホが普及したこの時代、その瞬間を録画していた人も大勢居るだろうと思った。とりあえず殺害だけじゃなくて普通に政治家が演説なんて物珍しくて撮影するよね。その人を支持しておらずとも芸能人が居たらとりあえず撮っとく的な。まぁ元総理となればテレビカメラも追従しそうだ。つまり、流れざるおえない。おえないのだが。
胸にあたって首に穴が空いてるって心肺停止
もうそれ死んでるんじゃ……というのが素直な感想
未遂じゃなくて殺人現場じゃん。
飯時に見るものじゃないよ……
従業員さんが「今日、金曜ロードショーの竜とそばかすの姫がめちゃくちゃ楽しみなんですけど無くなりませんよね」と言ってたから
流石に私も「作中で誰かが撃たれるシーンがなければ大丈夫なんじゃないですか」と冗談めかしてかえした。
色々チャンネルを変えてみて、NHK教育Eテレだけが違うことを放送していたのでとりあえずそれを観ていた。五十肩のことを特集していた。大変なんだな、五十肩。
結局、1時になって昼休憩が終わってしまうまで、他のチャンネルが通常に戻ることはなかった。
Twitterを見てもそれで持ち切りで気が気でなかった。
最初にみたNHKの女子高生へのインタビューへの勝手な憶測が飛び交っていた。うるさいな。
中越地震でわざわざ小学生にインタビューして泣かせた話を思い出した。ソースはアンサイクロペディアだけど。
あと、3Dプリンタ製じゃないよね?と心配になった。工業系で学校に入って3dを扱う前にまず教えられるのは「武器を作るな」ってことだから。
15時になって15分休憩でまた昼と同様テレビをつけた。
しかし、やはりどこも殺人のことで持ち切りで何度も何度も不必要に同じ瞬間の場面を流していた。銃声の音なんて聞きたくないのに。
「(従業員の)皆さんはこういうの大丈夫ですか?」と聞いて、「聞き流せるよ」と言われたが、聞いた私がしんどくなってきてテレビをけした。
その後、無心に仕事してて何故か頭に浮かんだのは、石川啄木のこと。
このブログのタイトルは石川啄木の
「さばかりの事に死ぬるや」
「さばかりの事に生くるや」
止せ止せ問答
から来ているように、一時期私は彼の歌にハマっていた。
だからなんとなく思い浮かんだのだろう。
森の奥より銃声聞ゆ
あわれあわれ
自ら死ぬる音のよろしさ
誰そ我に
ピストルにても撃てよかし
伊藤のごとく死にて見せなむ
やや遠きものに思ひし
テロリストの悲しき心も
近づく日のあり。
なんか凄い時代に生まれちゃったな。100年前の人間とおんなじ様な大変なことが起きたのかな。いやでももうあの人は総理大臣じゃないからな。
仕事が終わり5時。未だにニュースは同じ報道を繰り返し、奥さんが病院に着いたのだとか言ってた。その日は会社の顕微鏡が壊れて業者の人が修理に来ていて、その話も業者らしからぬおばちゃんとしていた。テレビニュースの速報で死亡のテロップが出てきて「死んじゃった」という浅い言葉が自分の口から出てきたのを覚えている。業者のおばちゃんに亡くなったことを伝えた。
しかし、ここまでテレビではずっと銃声とその瞬間、搬送までを繰り返しほぼ全局流していた。
人殺しの瞬間を。
3時になれば小学校の子供たち、保育幼稚園の園児たちだって帰宅して、テレビをつける。もしくはYouTubeを見る。
大人が見ても共感性がそこそこの人でもしんどくなる映像を子供たちの前で見せていいのか。
見せるようにしてもいいんか。それが心配だった。
(どうやらテレ東圏内は普通にアニメ放送してたみたいだからよかった、新潟県にそんなものはないけど。テレ東通常運転ありがとう)
仕事が終わって寄り道する気力もなくて彼氏くんに電話してもいいかと聞いた。それぐらい精神的に参ってた。なんかこのまま、ジョーカー観て精神にトドメを刺すかとか思ってた。
またしても無敵の人の犯行なんだろうと思った。守りたいものがある人は命かけないもの。
まぁ、逆もあるのだろうけど。
彼氏くんと電話したら少し落ち着いた。大好きだわ。ありがとう。
そこからしばらくメディア断ちをした。Twitterユーザーもしんどくなってきたのだろう。
タグ立てして、わんニャンの画像がタイムラインに流れ出した。ついでに私も近所で撮影した栗の花を流し、タイムライン汚しをしていた。
夜にはTwitterのトレンド2位に「ショック」がきていた。
【公認心理師が解説】ショッキングな情報から心を守る方法 https://t.co/42jbrTzOgg
— All About (@allabout_news) 2022年7月8日
痛ましい事件や事故などの怖いニュースを見ることで、不安な気持ちになってしまうことは、誰でも少なからずあるものです。そんな時はまず、不安につながるニュースや映像からいったん離れることが大切です。
また自分の好きなアーティストが軒並み精神やられてたのには少し笑った。まぁ私がそうなんだろうから、そうだろうな。みんな、強く生きような。
9時になっても結局金曜ロードショーは延期。従業員さんの不安は当たってしまった。
こんな暗い時だからこそ子供たちに楽しみを。と思った。
事件から一ヶ月以上経った今でも放送はしていない(それこそお盆とかが1番水難事故起こりうるからなのかもだけど)
どうやら来月、るろうに剣心の合間に放送するようだ。楽しみだな。
そんなんで7月8日の1日は終わった。夢には出てこなかったからよかったが、今でもあの時の放送の仕方は異常だった。もしもまた悲惨な事件が起こっても誰かを傷つけるようにメディアは放送するのだろうか。それを見てしまうのが人間な限り。